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Visions of Masochist
自分を律し、行き先を指し示す【Vision】。 しかし、行き先の分からない「背徳の幻想」が、私の中には存在する。
顔のない関係【09】
 自分に化粧をするために化粧道具を買ったことも、ストッキングをはくために体毛を剃ったことも、その時まではまだ経験したことがなかった。

 もともと、私はSM小説やビデオのM女性に感情移入していたから、もちろん自分が「女性」になることができるのなら、それが一番「欲望」への近道だったかもしれない。しかし、それは「そこまでやったら・・・」と躊躇する私なりの限界ラインを超えていたことだった。

 時折目にする女装系の雑誌に載っている写真に、めったに「女性として」綺麗だと言えるものはなかったと思う。

 自分ならこの人たちより綺麗になれる、と思うほど私は女性的な顔ではなかったし、男性としても髭の濃さに悩んでいたくらいだったから、最初から「綺麗」を望むのは無理は話だった。
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【目次】顔のない関係
 「M男性である自分」のまま、SMを好む人々の中に交わっていく場所を、チャットルーム【仮面舞踏会】で初めて見つけた私だったが、サイト閉鎖と共にその場所を失い、特定の名前と人格を持ったM男性から、一人の「M男性を名乗る人」に戻ることになる。

 自分も、他人の顔も見えないまま、ネット上を砂粒のように漂った日々の記憶。

     
  • 顔のない関係【01】


  •  通い慣れ、自分のハンドルネームで挨拶すれば自分であることを認識してもらえた「仮面舞踏会」がなくなった後、他のSMチャットルームでもう一度最初から関係性を構築することは容易なことではなかった。S女性は極端に少なく、満足に話しをすることも叶わず、チャットをあきらめかけた時、私は新しい「道具」を見つける。

  • 顔のない関係【02】


  •  Netmeetingを初めて使うと、「Japan」の女性に興味津々な外国人から何度も呼びかけられ、接続をOKするとすぐに質問攻めに逢う。自分が男性であることを明かすとすぐに切断されたが、数人が使っているWebcam経由の動画が案外鮮明であることに驚く。

  • 顔のない関係【03】


  •  「S女の方、お話してください」型どおりのコメントを入れると、数人の「S女性」と話しをすることができた。ネット経由で「M男性」と会話をすることに慣れてきたS女性達は、自分の指示した内容をデジタルカメラで撮影して送ることを命じはじめた。

  • 顔のない関係【04】


  •  初めてNetmeeting経由の「私」は、あるS女性から一人のM男性として認識してもらえる程度に会話を重ねる。画面の向こうに、リアルタイムでS女性が自分に何かを命じてる、という興奮にとりつかれ始める。

  • 顔のない関係【05】


  •  デジタルカメラでの「命令の実行報告」は、次第にエスカレートし始め、カメラでの送信が追いつかなくなりはじめる。ついに自分の映像をwebcamに映した私。

  • 顔のない関係【06】


  •  思った以上に鮮明な映像を映し出すwebcam。素顔のままでM男性だと不特定多数に素顔を晒すことはできず、それまで、興味を持つことすらなかった「女装」の顔を身にまとうことを選ぶ。

  • 顔のない関係【07】


  •  男性の姿のまま、女性しか使わない道具を手に入れる恥ずかしさに躊躇しつつも、一つ一つそれらを手に入れる高揚感につつまれていく私。

  • 顔のない関係【08】


  •  一人暮らしの男性が女性の下着を手に入れるために利用できる手段はまだ多くなかった。女装趣味の男性が集まることで有名なショップに初めて入り、てにできなかったいくつかの道具をそろえていく。


偽わることがタブーなこと
 私は、あちこちのSMチャットに出かける時、ほぼ100%「女」になることを選ぶ。

 しかし、そうした行為は、そこが「男性と女性」の集まるチャットである限り、大抵タブーになる。女装者を好む男性とチャットする部屋だけは例外で、これなら誰にも文句は言われないけれど、アダルト空間においては、そこは大抵の場所が「ネカマ禁止」な空間なのだ。
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【目次】「仮面舞踏会」
 まだ「出会い系」サイトという言葉がなかった頃、SM嗜好を持つことに悩みながら、人生の一瞬の中に、同じ言葉で話しができる人達と出会う場所を探していた私達は、「仮面舞踏会」と名付けられたChatRoomを見つける。

 S・M、自分がどちらの嗜好を持つのかを語ること自体が「変態性癖のカミングアウト」だった頃、同じ想いと苦しみを語り合ったサロンの思い出。


顔のない関係【08】
 メイクをするための道具とウイッグが揃った。

 「女装の世界」に足を踏み入れることをどこかで拒み続けていた私だったが、その頃にはもう、禁断を乗り越える後ろめたさよりも、どうすれば人に怪しまれることなくこの部屋で女装することができるのかしか考えなくなっていた。

 近所の書店には、ニッセンの無料カタログが山積みされていたし、母がセシールで買い物していたから、通販で全てを揃えることが一番簡単だっただろう。しかし、男性の名前で女性の洋服ばかり頼んでいると、自分の名前がどこかのコンピューターに登録されるような気がして、注文できないままでいた。

 手っ取り早く、女装に必要な道具を集めるため、女装者であれば一度は必ず店名を聞く、老舗の女装専門ショップに出かけてみた。
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