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Visions of Masochist
自分を律し、行き先を指し示す【Vision】。 しかし、行き先の分からない「背徳の幻想」が、私の中には存在する。
ふたり 【03】
「もう少し、かわいい格好にしてあげるね」

 美恵は由梨の手首の縄を緩め、一旦戒めを解く。戸惑う由梨の額に軽くキスをすると後ろ手に縛りなおし、両肩を通したあと胸の下側を縛る縄に引っ掛け、もう1度背中の縄に掛けた。由梨の両胸がより強調され、拘束感が一段と厳しくなる姿勢だ。

 美恵はさらに太い縄を取り出すと、背中の結び目に硬く縄を捲きつけ、梁に向かって縄尻を投げる。

(吊られるんだ・・・)

 由梨が考えた瞬間、美恵は両腕に体重をかけて縄を一気に引く。
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ふたり 【02】
 一歩一歩、近づいてくる足音に、鼓動が早まっていく。どんな表情でドアを開けるのか、そして、最初にどんな声をかけてもらえるのだろうか。一人で美恵の帰宅を待つ間、私の頭の中を支配していたのは、まぎれもなく美恵の姿なのだ。

 待ち続けた時間の分だけ、私の中で美恵は様々な表情を見せていた。優しい表情、厳しい表情、そのどちらも、結局は想像でしかない。

(早く、早く美恵様の表情が見たい・・・)

 一人で過ごす時間は、美恵に会いたいと願う時間である。その長い時間が、ドアの開く音と共に終わろうとしていた。

「ただいま!いい子にしてた?」

美恵が微笑みながら私を見つめる。

「御主人様、おかえりなさいませ・・・。」

正座してゆっくりと床に平伏する。

「もう・・・、いきなり御主人様、はやめて頂戴って言ってるでしょ?私は私、貴方は貴方。あんまりありきたりな感じにはなりたくないんだって・・・。」

「それにしても、今日は暑かったね、もうくたくた・・・。でも、由梨のことを考えて早足で帰ってきたの」

 美恵の薄い唇から流れ出した言葉が、直接心に響き、途端に熱いものが身体の中に流れる。

(私に会うのを待ち遠しく思ってくれていたんだ。暑いのに早足で・・・)

 そう考えるだけで、鼓動がこめかみのあたりまで伝わるような気がした。

「あ、ありがとうございます」

私は、そういうのがやっとだった。

「さぁて、楽しみにしてたから今日の私はしつこいかもね。できる?」

 優しい笑顔の中のサディスティンが、私を見つめている。

「はい・・・。」

 もう、まともに目を合わせることもできず、私はこれから始まるひとときの夢に、身体中を熱くするのだった。
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ふたり 【01】
 秋の朝の清浄な空気が、白を基調にした明るい部屋の中に満ちている。
私は、私の御主人様が生活するこの空間が、自分を最も美しく演出してくれることを知っていた。

「由梨」になるために、身体から雄の匂いを消し去らなくてはならない。シャワーを念入りに浴び、体毛の処理をし、ドレッサーの前で目をつぶって自分の中の淫らな部分に火をつけていく一瞬が、とても心地よい。

「貴方のために、今日もキレイになります」
鏡の前で小さくつぶやくと、美恵のことを想った。

 「由梨」は、彼女の主人である美恵が見つけ、美恵が育てた、美恵にしか価値のない「女奴隷」である。
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頭で達する絶頂【完】
 求められることは、哮り狂う男性自身を、潤んだ秘所を目がけて突き立てること。単純にそれだけだ。ここまで、高まった女性の身体が、それ以外の何の刺激を求めるだろうか。

 すれ違った女性が発する好みの薫り、満員電車で不意に触れた女性の柔らかな肌の感触、一人でネットを彷徨う途中で見つけた美しい裸身、そして、苦悶の表情を晒す女性の顔・・・。
 
 不意に屹立してしまう自分自身をもてあました経験が、男性なら誰にでもあるだろう。今、何の制止も必要なく、思うがままに女性自身の体から与えられる快楽を、貪りつくすことを許されているのだ。

 これ以上、何の遠慮も必要ない。男性が、雄の欲求を解放するために必要な条件は全て整っていた。

 しかし、私の身体から、攻撃的な哮りが、なぜかすうっと引きはじめてしまっていることを、私は自覚していた。
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バランス
 ~バランス~

 均衡の取れた釣り合い、等しい振れ幅、対称、動きながら安定しているモノ・・・。

 「バランス」という言葉から連想するのは、そんな状態だ。

 バランスの取れた○○。

 悪い意味では使わない言葉だ。
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理由
 初めて、リアルタイムの感情をここに書く。

 今まで、そうしようとは思わなかった。

 書いてしまうことで、長い放浪の後で見つけた自分が本当に求めていた場所に、何か不測の事態を引き起こすことが怖かった。そして、そこで見つけた本当の解放感、存在感、幸福な充足感を十分に表現することなどできなかった。

 時々物語調に振り返ったことはある。それは、どこか自分を客観的に描写することで、自分の味わった幸福感を間接的に誰かに伝えようと思ったからだったかもしれない。

 今からほんの一ヶ月前。

 私はある意味自分の人生で初めて味わう絶頂感に浸り、そして、それが今、夢のように一時にはじけていくような時間を過ごしている。
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