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Visions of Masochist
自分を律し、行き先を指し示す【Vision】。 しかし、行き先の分からない「背徳の幻想」が、私の中には存在する。
「映画館」・デビュー【05】
 腰を視点にして前後に激しくストロークを繰り返す。顎と首が痛くなってきた。

(まだ・・・なの・・・?)

上目遣いで見上げると、男性は目を閉じて顔を後ろにそらせながら、呻いている。その男性と私を、湿った視線で見つめる目・目・目・・・。
 硬度と温度を上げていく彼自身を、一気に追い立てるように右手で根元からしごきたて、亀頭の部分を唇で締めながら刺激する。ウッ、っと呻いた瞬間、温かい粘液が、4回、5回と、私の口中の粘膜に、浴びせかけられる。

 生臭く、吐き気がする。


 舌で味わうなどということはできるわけもない。口の中にあふれる液体をもてあまし、意を決して一気に飲み干すと、胃の中から、悪魔のような液体が逆流するかのようだ。


 男性はすっかり吐き出すと急に醒めたようで、


「トイレに行く。すぐ戻るからね」


と言い残すと席を立った。一人残された私はふと隣をみると、さっきとは全然違う男性が座り、自分にも、と言いたげな表情で私を見ていた。


 奥の座席では、完全にニューハーフになっている方が、たくさんのギャラリーの前で「エッチ」していた。さっき私の隣にいた男性は、私の隣に帰ってくるわけでもなく、もうニューハーフさんの両足の間に顔をうずめていた。
 遠くからでも「彼女」の足の綺麗さはすぐにわかり、通路まで男性があふれてその光景を見ている。


(美しい人にしか男は引きつけられないんだ・・・)


たとえようもない寂しい気持ち。これが女性の感じ方なのだろうか。昂ぶりすぎた興奮が冷めると同時に、寂しさが身体を襲う。


(このまま、帰った方がいいのかな・・・)


もう一度、美しい人に群がる人だかりと、満足げな男性の表情を見る。理性とは裏腹に、


(身体を、もっと見せつけたい、あの人より大胆になったら私にだって・・・)


対抗心のようなものが、私の心を支配した。ちょうど、さっきの男性は、美しい人の一番敏感な部分を好きにしてすっきりしたのか、私を見つけると、笑顔で近づいてきた。


「私、そろそろ、帰らないと・・・」


引き留められるかな、と思いながら、口にする。


「あっ、そう。また、遊びにおいでね」


さっきまでのねっとりした接し方は一変し、淡々と、他人に話しかけるような感じだった。射精する前と後では、男性はこんなに違うように見えるのか。男性を20年以上も生きてきて、今初めて実感した。


 たしかに帰る時間は近づいていた。
帰ると告げてしまった手前、一旦は外に出るしか無かった。でも、このまま、帰りたくない。


 一旦トイレで身繕いを整えると、もう1度、さっきのように、後ろの手すりでもみくちゃにされながらかわいがられてみようと思い、客席に戻った。
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