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Visions of Masochist
自分を律し、行き先を指し示す【Vision】。 しかし、行き先の分からない「背徳の幻想」が、私の中には存在する。
10years
 初めて一人暮らしをしたアパートの近くを、10年ぶりに通りがかった。

 ここ10年といえば、少しまとまった土地があればすかさず小さなマンションが建ち始めて街の様相が一変することが多かったけれど、不思議と、昔済んでいたアパートの周辺は、10年前とまるで変わっていなかった。

 大きなスーパーも、ホームセンターも、ドラッグストアもないのどかな街で過ごしながら、原付バイクを手に入れて、近所から隣の街まで、麻縄や、大型犬用の首輪を探して走り回った。

 大きなドラッグストアを何軒も周り、数個づつイチジク浣腸を手に入れ、ヘルメット入れのケースの中に、数十個まとめて持ち帰ったこともあった。

 それら一つ一つを、一人、狭いアパートの中で、自分に施していた当時のことを、不思議と思い出していた。

 車の窓から、大きなホームセンターの看板が見えた。アパートから歩いてほんの5分程度、以前は雑木林だった土地は、一変して駐車場と無機質な建物に生まれ変わっていた。

 さらに車を走らせると、幹線道路沿いに、大きなリサイクルショップを見つけた。

 古い倉庫を改造した店内には、ところ狭しと衣料品が置かれている。この手のリサイクルショップは、外国にはよく見かけるが、最近まであまり見かけることがなかった。

 数百円から、高くても数千円の、女性の衣服が、店の中に溢れている。

 高いお金を出して、女装専門ショップで手に入れていた洋服は、どこか「中年男性の好むスタイル」で統一されていたのとは違い、どれも、すぐに手にして女性が身につけるような、「普通」のデザインのものだ。

 ブーツも、何足も並んでいた。

 10年前、両方の店が、もしもあったなら、私は間違いなく、素知らぬ顔をして「道具」を集めて、女装Mとしての欲望に突き進んでいただろう。

 それが、今に至った時、私にどういう影響を与えたかは、想像することができない。

 女装という仮面をかぶらなければMとしての自分を認められなかった私が、手に入れられそうで届かなかった「女装M」としての自分。

 今、完全に自分の素の顔を晒しながら御主人様の足下に跪きながら、過ぎていった10年の月日と共に御主人様の前で変わることのできた幸運を思う。

 幸運、と一言で語ることはできない、複雑な幸運だったけれど、私は、紛れもなく今自分が立っている場所に向かって、いたのだと信じられるように、なった。

 
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