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Visions of Masochist
自分を律し、行き先を指し示す【Vision】。 しかし、行き先の分からない「背徳の幻想」が、私の中には存在する。
「映画館」・デビュー【06】
 「美しい人」には連れの男性がいた。本命の一人と数名の常連以外は手を触れることも叶わず、遠巻きに見ているだけだった男性たちが見えた。彼女に対する対抗意識と、さっきまでと急に変わってしまった男性の冷たさが、交互に私の頭をよぎる。


(もう、どうにでもなったらいい・・・)

 それが危険なことはわかっていた。でも、危険より、この気持ちを閉じこめておくことができずに、私はわざとお尻を突き出してみる。


 ここに集まる男性が、そんな「オンナ」の行動が目にとまらないわけがなかった。周囲で微妙な距離を保って立っていた男性たちは、すぐに私のそばに集まり始めた。一呼吸も置かないうち、私はさっきよりも多くの男性達に、囲まれていた。


(全員、私を見てる・・・。見ている・・・。)


 視線は魔力を持っていた。たとえそれが、普段女性には気にかけてももらえないような男達のものであったとしても。その魔力にかかった私の身体は、伸びてくる男性の手を、自分の肌に導いていく。その侵入を容易にさせるように、妖しく身体を捩らせながら。


 「魔力」は私を昂ぶらせていく。しかし、現実の男性達は、2人くらいを除くとあとはおずおずと見ているだけで、触ろうとはしない。声を出して彼らを煽るべきなのか。逡巡している間に、帰る時間は近づいていく。


 (私を・・・見て)


 焦れったい空気を破るように、私はスーツの上着を脱ぎ、キャミソール姿を暗がりに晒す。


 周りの空気は、その瞬間、うねったように感じた。男たちは、自分の安全ラインを破り、急に近づく。今度は身体を捩ることもできない程多くの手が私に身体を求めて蠢く。肩、首筋、背中、わきの下、乳首、太もも、ふくらはぎ、それから、一番大切なところ・・・。今度は容赦がなかった。身体中を揉み込まれ、一気に性感を高められた私は、目を閉じて、その波に漂い始めていた。


 ぼんやりしていく意識の中、不思議な香りが感じられ、まぶたを開くと、鼻先に茶色い小ビンをかざされていた。眼鏡をかけた暗そうな男性は、右手で自分自身をしごきたてながら、左手を伸ばし、私にそれを嗅がせていた。


(何・・・?薬・・・?)


訝しがる間も無く、身動きもできなくなった。経験したこともない、全身から時間差で到達する様々な種類の感覚が、あっというまに私は絶頂まで追いつめていく。堪らずその境目を越え、達してしまった私を、たくさんの手は解放する気配もなく、かわるがわる責め立てつづけた。


(だめ・・・いっちゃったの・・・)


 小声で訴えても許してはくれなかった。「射精」し終わった私は、さっきの男性と同様に急に醒めていったが、周りの男性は立ち去る様子が見えない。


「挑発しておいて簡単には逃がさない」


「声」は聞こえない。けれど、そんな声が私に突き刺さった。
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