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Visions of Masochist
自分を律し、行き先を指し示す【Vision】。 しかし、行き先の分からない「背徳の幻想」が、私の中には存在する。
「ユニバーサルM」
 御主人様とのメールのやりとりは、SMの話はほとんどなくて、お互いの仕事の中で感じた出来事や本当に、その場で話して会話すれば四方山話がほとんどだ。

 仕事場や友人の中には、「どうしてそういう状況で、そういう考え方をするのか?」と首をかしげたくなる人がいたりする。理解に苦しむ行動を取られる度、御主人様にご報告(?)しては「そういう人はどういう人ならつきあって理解してあげられるのか」と話す。

決まって、

「割れ鍋に綴じ蓋だよね」

 という結論(?)に至る。

 壊れた鍋と、繕って直した蓋。似たもの同士はぴったり合う、という言葉は、もちろん御主人様と私にも言えることだ。

 まさか御主人様を割れた鍋と思うわけはないけれど、お互いにプレス機から出した瞬間にぴったり合う規格品ではないから、お互いに合う蓋と鍋を探していたのかもしれないし、何度も合わせるうちに次第にお互いの形がなじんできたのかもしれない。

 どちらにしても、一番ぴったり合う場所を見つけた鍋と蓋は、もう他の形の蓋や鍋を探そうとは思わず、今度は別の方法で合わせられるか、蓋を叩いては違う格好でも合うように何度も何度も合わせることを繰り返し続けることができる。

 「あなたの色に染まります」「どんなことでもやります」と、ついついMはSに対して宣言して、何とか自分を専属にしてもらおうと努力するものだと思う。まるで、日用品売り場でみかけるどんな大きさの鍋にでも使える「便利蓋」のように。

 「どんなMでも調教します」と宣言しているS男性のblogやホームページは結構ある。そして、「どんなことでもします」と宣言しているM男性のものも多い。

 綴じ蓋と割れ鍋なら、男性が蓋で、女性は鍋なのかもしれない。

 お互いに、合う相手を探していても、きっと男性は「どんな相手でも対応する自分」になろうとしがちなのはどうしてなのだろう。そして、それは綴じ蓋を何度も修繕するよりは、まるで、「便利でユニバーサルな蓋」を目指しているようだ。

 「ユニバーサル」を目指すことは、それなりに、Sの技術としては大切なことなのかもしれない。

 ・○○歳以内、いつでも好きなだけ鞭打てる性処理奴隷として扱う

 なんて好き勝手な条件(?)を掲げたなんちゃってSさんも多い。そんなのは「ユニバーサル」を通り越して妄想の世界だから論外としても、相手の容姿からどんなプレイが好きかまで、それなりの条件の下に自分の欲望を発散させたいのが男性の基本的な欲求なのは仕方がないかもしれない。

 条件なし、どんな女性でも、と宣言するのはとても技術がいることだから、もしその技術が確かなら、自分は「ユニバーサルS」として、誇っていいと思う。

 しかし、M男性にとって、「ユニバーサルM」を目指すのは難しいし、そもそも成り立たないような気がする。

 どんなことでも、というだけでは、どんなS女性をも満足させる、ということはできないだろう。
この人だけ、という気持ちがなければ、まず受け入れてくれないはずだから。

 男性でも女性でも、複数のSの共有物です、というMの人はあまり見かけない。それは、Sの側が「多頭」飼いするのとは根本的に違うことで、同時に複数の人に仕えようとしても、結局はMとしての論理が破綻してしまうせいだと思う。

 忠誠を誓う、とまで劇的にはいかなくても、せめて目の前のSが自分の唯一絶対のS、という状態にならない限り、心の底にあるMの血を沸点まで沸き立たせるには不十分だ。

 便利でお手軽なユニバーサルM、それは確かに便利な存在かもしれない。

 身体に無数のキズを持ち、初心者で手加減も生身の身体を撲つ痛みも知らず激しい打擲をしても悦び、自分を所有することに満足するSの所有欲を満たしながら、それでもまた別のSの前で責められて平気な人。

 めったに出会うことができない潜在S女性を顕在化させるために、こんな便利な人はいない。でも、仮にそんな境地に至ることができたMがいたとしたら、その人自身が自分の存在意義に悩むだろう。そして、勘違いしたS女性を増やしてしまうだけなのかもしれない。

 「便利」は必ずしも人の幸せを産まない。

 ユニバーサルだからゆえ、どんな鍋にも結局ぴったり合わない蓋。

 そんな哀しい存在には、誰もなることはできないと思う。





 


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