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Visions of Masochist
自分を律し、行き先を指し示す【Vision】。 しかし、行き先の分からない「背徳の幻想」が、私の中には存在する。
「映画館」・2回目【03】
(・・・!)


体中から、腕と指と手が降ってくる。身体をよじっても、何十本の指が私の首筋、わき腹、胸、太もも、そして、一番敏感な箇所を、襲う。


「やッ・・・、やめて・・・!」


周囲を刺激しないよう、小さい声で呟く。


酒と煙草の混じった男性の匂いに塗れた「女」が放つうめきは、雄の本能を刺激する。


女」としての意識が浅い私は、そのことに気づくことが、まだできなかった。


がっしりとした上体が、後ろから私を抱きかかえ、スカートがたくし上げられて露わにされた臀部に、火柱のような男性自身が押しつけられている。その勢いと圧力に気圧され、動きが止まった私を見て、別の男性が、周りの男性を押しのけて私に耳打つ。


「せっかくだから楽しもうよ、ね?」


不思議なくらい優しげな言葉をかけたその男性も常連の一人らしい。恥じらいと戸惑いで返事をためらう。が、私が承諾の意志を伝えるのだけを待つかのように、周りの男性に仕切りを入れ、一旦半裸の私は解放された。


言われるがまま、不服そうに少し下がった周りの男性たちは、離れずに私を取り囲みつづけている。乱すものがいなくなれば、その間に自分の身を守るように行動するしかない。私は震えの止まらない手で洋服を整えると、その場を立ち去るでもなく、また、周囲の男性たちに赦されるためにはどうすればいいのか判決を待つ被告のような思いで次の声がかけられるのを待った。


「仕切り役」の男性が続けて、


「おちんちんが好きなんだろう?しゃぶってみたいんじゃないの?」


私の耳のそばで呟く。周囲には聞こえていないはずだ。男性の目を俯いた視線から探り、ゆっくりと首を縦に、頷いた。


「おい、この子淫乱みたいだぞ。ゆっくり楽しもうや」


「刑」の執行を告げる声が、辺りに響いた。


周囲の男性、さらに、今まで映画に気を取られていた座席に座った男性も、一斉に私を見るために身体を返し、ほんの数秒の間に20人以上の男性が私を眺めていた。


「ほら、みんなが君を見てるよ。君が何をしたいか、みんなわかってるみたいだ。どれが欲しいの?選んでいいよ」


顔を上げると、さっきの私を後ろから抱きしめて犯す寸前だった男性、「仕切り」役、そして、今まで決して私に触れなかった若い男性の3人が私に近寄りながらズボンのファスナーに手をかける。


(もう、止める人はいないんだ、このまま、やってしまうしかないんだ・・・。)


自分で自分を抑制するラインを強制的に取り去られた私は、「赦し」を求めることに没頭するしか無かった。近づいてきた3人の男性ではなく、さっき途中で寸断させられ、不満そうな顔をしている男性を求めて床を這い、ひざまづいて両手で、口唇を許した。


(何・・・?・・・私、この、感じ・・・?)


獣そのもの、いいえ、獣なら決して行わない行為を、今自分がしていることに、私は何か満ち足りた暖かい衝撃が身体を走ることを感じて戸惑っていた。大勢の男性が、口唇愛撫される男性を羨ましそう見ているからなのか、この男性自身が立派だったからなのだろうか。


夢中でしゃぶりたてていると、男性は急に身体を固くし、うっ、とうめくと私の口の中に大量に白濁した精を吐出した。


(えっ・・・、もう・・・??)


受け入れる心づもりが不十分なまま浴びせかけられる液体を、喉奥に受け止める。あっという間に、狭い口中から溢れ出ようとしたその時、


((飲みなさい))


その空間には決して存在しないはずの「本物の女性」の冷たい声が、脊髄に直接響き渡った。抗うことを許さないその声に反射した私の喉は、嚥下する行為だけを続けていた。


二度、三度、と吐出を続けた男性は、急速に硬度を失う。私はその男性自体を飲みこんだような気がして、放心状態だった。


間をおかず、「次」の男性がまた近づく。


「お嬢さん、俺のもしゃぶってくれる?」


口調は優しいけれど、風貌はさっきまでの冴えないサラリーマン風ではなく、険しい表情だった。断りきれず、続いて口唇を犯される。今度の男性はさっきの人よりも匂いがきつくて、達してもいないうちから吐き気が発作のように繰り返し私を襲う。


(や、やめて・・・、ちょっと、ちょっとだけ、待って・・・)


飲み下したばかりの精液を受け入れることを胃が拒み、さらに続けて「獣」として許されない行為を続ける私を律し続けるかのように何度も強く生じる吐き気のせいで、両目から涙が溢れ、頬にこぼれていく。「女を犯す」行為には最適の反応だっただろう。男性は硬度を増した自分自身を私の喉にぐいぐいと押しつけ、それが更に吐き気を生じさせた。


嗚咽を続けるばかりの私は、早く解放してほしくて、やたらに強く吸いたてて刺激した。首と両手が痺れ、涙の粒が床を濡らし始めた頃、やっと男性は達してくれた。もう、単純きわまりない粘膜だけの感覚が、私と男性達の間に介在する全てだった。


(もういい・・・もういいから帰らせて・・・)


全てが虚しく思え、性衝動は身体の中から消え去っていた。早く、ここから帰りたい、全てが面倒に感じ始めた私には、それしか考えることはできなかった。


「今度は、ぼくのもキレイにしてくれるよね?」


まだ、私を求める男達は、私を赦すことは無かった。
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